完全に店主のペースにハマってしまいました
関西本屋さんめぐり京都編その2。京町屋ゲストハウス「まくや」さんでお借りしたママチャリを駆って、市内を走り回ります。これまで地下鉄やバスを使い、京都の名所を訪ねていましたが、自転車の便利なこと便利なコト!!乗り換えの煩雑さがありませんし、平坦で体力的にも辛くありません。
西陣地区から市内をシャーっと横断してやって来たのは、出町桝形商店街です。アーケードの下に幟が翻り、八百屋や飲食店が軒を連ねる、いかにも商店街の典型みたいな商店街です。賑わいがあって、歩いているだけでわくわくしてきますね。
この出町商店街の中にあるスーパーの脇に、なにやら怪しげな階段があります。
一応、階段に目指す本屋さんのちっちゃな立て看板が置いてあるのですが、ちょっと場末的なムード漂う階段・・・一段踏みしめる毎に、緊張感で心拍数が上がっていきます。そして辿り着いたところは、まるで鉄道グッズを販売していそうな装い(笑)。
意を決して扉を開けると、中にいた女性が・・・
「ひえぇぇぇぇぇ~!!」
と悲鳴を挙げるので、
こちらも、うおぉぉ!!?と声を挙げてしまいます。
「いやぁー、驚いた!」
という店主の太貫まひろさん。いやいや、驚いたのはこっちの方ですわ。そんな驚かれるような顔ではないと思うのですが(笑)
そんなちょっと天然(?)な店主が切り盛りする、ここ「風の駅【旅の情報ステーション京都】・風の駅文庫」は2012年6月にオープン。京都はもちろん、全国各地のリトルプレスや雑貨の販売のほか、各地の観光パンフレットや本・雑誌を閲覧できる図書サロン、カフェスペースを備えています。
■風の駅【旅の情報ステーション京都】・風の駅文庫
京都市上京区桝形通出町西入る二神町176-2-2F
webサイト → ●
「私立の観光案内所です」
というだけあって、全国各地の観光パンフレットは網羅的にストックされていて、その点数の多さに驚かされます。今、地域おこし協力隊の活動で製作している勝浦市興津地区のフリーペーパーが完成したら、ここにも置いてもらおうかな(笑)
さっそく、各地のリトルプレスを立ち読みしようと思いきや、
「お昼、食べられました?
行列ができてなければ、
『満寿形屋』さんいいですよぉ~。
サバ寿司、ぜひ食べてみて下さい!」
と、本当に美味しいものを食べたような表情を太貫さんがされるので、ひとまず訪ねたばかりの風の駅を後にし、はす向かいにある満寿形屋へ。肩肘張らない、食堂然とした風情漂う佇まいがステキです。
うどんとサバ寿司のセットを味わいましたが、いやもう、甘酸っぱいだけのサバ寿司とはもう別次元の味わい。軽やかな酢の酸味に上品なうま味がふわっとそよぐ。なるほど、人におすすめしたくなるのがよく分かります。
食後、改めて風の駅へ。すると今後は
「『ふたば』さんは行かれましたか?
いつも行列ができる、有名な大福屋さんですよ。
このカフェで食べていただいて大丈夫です」
もう、行かなきゃウソでしょ、という感じです。
と、いうことで、踵(きびす)を返して歩いてすぐのところにある創業明治32年の老舗「出町ふたば」へ。行列の有名なお店ですが、この日は幸い10人ほどの列でしたので、ちょっと待っただけで「名大 豆餅」を購入することができました。
はい、またまた風の駅に戻って参りました。
うん、なんだろうこの展開は(笑)
商店街を見下ろすカウンター席で大福を味わいます。
「ここからの景色いいでしょ。
前のかね安さん、本当に美しくお野菜を並べられるんです」
という太貫さん。
そうなのです。太貫さんの商店街にかける愛情には深いものがあるのです。その想いが積もり積もって、なんと、ご自身で取材撮影をこなし、リトルプレスまで発刊してしまったのです。それがこの『気になる京都 あの店・あの場所』です。
150ものお店、スポット紹介やお出かけマップまでついていたりと、ディープな内容ながらも「使える本」として編集されています。それに加え、マップを本誌に綴じている紐が手結いなのがすごくいいです。一冊一冊に手をかけられたその熱量が、本の表情から滲み出ています。
2月の下旬には『気になる京都』の第二弾も発売予定だそうです。。
さらに、月に一度行う「からすまかくれ家市」も主催し、出店もされています(2月は26日に実施)。このまちに対する愛情に満ち満ちているのです。
また、全国の観光情報やリトルプレスを集めるのも、
「知らなかったら行かないじゃないですか。
知って欲しいんです。
そのためのきっかけを作りたい」
転勤族だったことがきっかけで、全国の「伝いたい」魅力に触れてこられたのだそうです。
そんな太貫さん、京都の風の駅を営まれているにも関わらず、実は「希望郷いわて文化大使」でもあります。どういうことかと尋ねると、大船渡市にある「ちっちゃなクレープ屋さん」の店を間借りする形で、姉妹店がそこにあるのです。
「1年やってたら津波が来て・・・。
田舎でも、いろんな本読みたいじゃないですか。
(本を)置くことで文化が育まれていくと思うんです」
『気になる京都 あの店・あの場所』の売上の一部は被災地に寄付されています。そして、風の駅から、気仙沼発の「編み物の愉しさ」と「住民の自立した生活」を発信していくことになるのです。