●勝浦朝市から輪島朝市へ

年の勝浦朝市の初出店は1月12日。

そこから14日と続いて

本日15日で新年三日目の出店となっている。

 

地震は、

秋田の山あいの温泉地でその揺れを感じた。

年末年始の約十日間は

住み込みで旅館の仕事をしていた。

少し揺れたな…くらいに思いつつ、

しばらくして夕方の

布団上げに向かおうとしたら仲居さんが

 

「能登が大変なことになってる」

 

とテレビに視線を向けた。

 

やがて、輪島朝市が行われる町の界隈が

炎に包まれてゆく様子が画面に映し出される。

やるせない思いだった。

輪島朝市は何度か足を運んでいただけに、

鎮火後の光景はなんとも言えないものがあった。

 

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ひと月ぶりに勝浦朝市に出店してみると

朝市通りに輪島朝市へ向けての

義援金を募る箱が設置されていた。

朝市仲間が大変なことになっていると、

年明け早々に設置されたそう。

 

輪島朝市も勝浦朝市も

ともに日本三代朝市と呼ばれ、

朝市の振興を目指す

全国朝市サミットの仲間として

お互いの交流が元々あった。

 

この募金箱だけじゃない。

勝浦朝市の出店者の中にも

独自に募金を募ったり、

不要になった器を販売することで

支援の資金に回したりと

自分なりのやり方で動いている。

 

特にこの土日は勝浦中学校の生徒たちも

輪島市立輪島中学校への

学用品、参考書などの支援のために

直接朝市会場を募金活動を行った。

生徒から支援をしたいと声が挙がり

校長先生を介して

現地の学校のニーズを把握した上での活動。

募金した人たちが寄せた

応援メッセージも贈られるという。

 

「気持ちが折れなければいいよね。折れちゃうと何もできなくなるから」

 

と被災者の方たちを案ずる出店者さんや

 

「朝市で募金をやってるって聞いて来たんだけど」

 

とわざわざ訪ねてくるお客さん。

犬の散歩のついでに募金をしたり、

 

「継続が大事だから」

 

と、朝市に来るたびに

毎回少しずつ募金される方もいらっしゃる。

 

こうした活動に触れ、

逆に自分自身が前向きに生き抜く力を

お裾分けいただいたような気持ちになる。

 

私は「自分にもできること」のヒントになればと

『災害支援手帖』(荻上チキ著/木楽舎刊)

を閲覧用に設置したが、真剣な眼差しで

 

「これは欲しいです。自分も被災地について考えていたところだったんです」

 

という方が現れたためお渡しした。

この本は、

善意が逆に被災地での迷惑にならないようにするための

配慮のポイントなどが書かれていて

とても良い本だと思う。

現時点で出版社のwebサイトでは

臨時公開版が無料公開されているので

ぜひ一度ご覧いただきたい。

 

https://books.kirakusha.com/saigaishien/

久しぶりに勝浦朝市に出店してみて感じたこと。

 

この穏やかな日常が送れることが

いかに尊いことか、ということ。

 

輪島朝市も勝浦朝市も、

平日を含めて約週6日露店が並ぶ

デイリーな市だ。

それだけに朝市自体が

日常の、毎日のリズムの中にある。

その「日常」がままならない

状況になってしまっているとうことが、

いかに辛いことか。

 

焼けてしまった朝市通り界隈も、

新しく道を整備したり

立派な施設をつくればいいという

単純なものではない。

日常の生活の豊かさがあってこそ

朝市の魅力に繋がってる。

「生活市」なのだ。

だからこそ、これからのことが心配だ。

 

今はまず、

ライフラインと衣食住が元通りになることを願います。

そしていつか輪島朝市が再開された時には、

ぜひ足を運ぼうと思う。

あの時見た、

出店者さんの笑顔をまた見られる日を想いながら。

最後の3枚は輪島朝市。2017年5月25日に撮影
最後の3枚は輪島朝市。2017年5月25日に撮影