『房総のパンⅡ』の取材で出会ったベーグル屋「1room」の伊藤剛さんにリヤカー屋台を作ってもらってから、一箱古本市以外のイベントにも出店するようになった(ベーグル伊藤氏はベーグル屋なのに、組み立て式屋台やご自身のカフェの内装まで手がけてしまうという多才な人物なのだ)。
程なく勝浦朝市へ出店し始めたものの、「これは何屋なの?」とたびたび言われてしまう始末。恐らく出店初期の頃に販売していた「ピーナツハニー」のインパクトが強すぎて落花生屋と勘違いされた方が多かったから(!?)かもしれない。
今でこそ「North Lake Cafe & Books」さんと「MOONLIGTH BOOKSTORE」さんのご協力を頂き、古本のラインナップが充実したことで「朝市に本屋さんもある~」とお声がけ頂くことの方が普通になったが、
「看板」
の必要性をずっと感じていたのは間違いない。
千葉/房総/本/編集
というキーワードを内包し、一目見て「なるほど!」と頷けるような看板が。
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そんな私の願望を叶えてくれたのが、勝田台に工房を構える西洋鍛治職人、
「Metalsmith iiji」
の伊藤愛さん。
消しゴムハンコ作家の「kanoco」さんにデザインしてもらった屋号を、見事に鉄で表現。ペンの部分の立体感、ぜひ間近で見てもらいたい。私が驚愕したのが地面に接する土台部分。なんと鉄のチーバくん……もとい、鉄の千葉県。鉄で房総半島の海岸線、江戸川&利根川の県境ラインをここまで緻密に再現していただけるとは。
さらに、この土台部分にはあるパーツが載っかっていたり、屋号部分の背後に仕掛けがあったり、ベーグル伊藤氏の屋台宜しく上下を分解できる構造になっていたりと、この看板は面白いアイデアの宝庫なのだ。
実は愛さんとの出会いも取材がきっかけ。
『BOSO COFFEE Ⅱ』で「豆NAKANO」の仲野さんとともに愛さんの工房を訪ねたのだった(NAKANOさんでは愛さん作のコーヒーメジャースプーンやコースターを販売している)。工房の屋上にある遊具のコーヒーカップでコーヒーを楽しんだり、鎮座するシンボルの都電で遊んでみたり。この時撮影した写真は貴重な思い出の一枚一枚だ(普段は立ち入り厳禁なのでご注意を)。
本づくりから生まれたご縁で、店が少しづつ出来上がってゆく。有難いとしか言いようがないし、それにこの展開自体が面白くてしょうがない。
取材時、
「鍛治という仕事を生活に近づけたい」
と仰っていた愛さん。
拠点の八千代市を中心に、愛さんの作品が街の風景になり、住人が心通わすきっかけとなる、
そんな事例が次々展開している。今後のご活躍が楽しみでならない。
暑い最中に熱い仕事で生み出された、貴重な看板。ガシガシ活躍させていきたいと思う。本当にありがとうございました!!
■ Metalsmith iiji
Instagram @iiji_metalsmith