房総半島南端の街、館山市が新たな拠点となります
勝浦から館山へ向かう時、
海沿いの道を通る。
入り江をぐるりとなぞるように弧をなす
ここのカーブから眺める太平洋、
そして房総の山々に抱かれた漁村の
素朴な佇まいにいつも目を奪われる。
1、2年前ぐらいまでだろうか。
このカーブの手前に
歩道橋が架かっていた。
一度、あの歩道橋の上から
きらきら輝く入り江を見渡してみたい。
そう思いつつ、なんとなく
立ち止まることなく通り過ぎていて。
いつの間にか歩道橋は撤去され、
跡形も無くなっていた。
今その瞬間が、
かけがえのないものであること。
そこに気が付けるだろうか。
記憶の中の歩道橋が、
そう語りかけている気がする。
本日、勝浦から館山に拠点を移しました。
昨秋、房総半島を吹き荒れた台風。
家の建物には大きな被害はなかったものの、
崖地等の理由から住み続けることが困難となり
移転を決断するに至りました。
移転にあたっては多くの方に
相談に乗っていただき、
改めて人のご縁の有り難さが身に沁みました。
船橋で育ち、
木更津で情報誌の編集に携わり、
勝浦で独立し現在の本づくりを始め、
そして館山へ。
私自身の変化とともに
房総半島を少しずつ南下し、
その度に千葉というフィールド、
そこに暮らす人たちの多様性に魅了され
心躍らされてきました。
館山での新たな暮らし。
どんな出逢いがあるだろう。
一期一会かもしれないその瞬間瞬間を大事に
「房総の名刺となる本」
を作り続けます。
歩道橋の階段を一歩一歩踏みしめるように。