「本まっちトークイベント〜本に何が出来るのか〜」に参加させていただきました。本の可能性というのは、ものづくり、生業という事と深く繋がっているのかもしれません

夏葉社の島田潤一郎さん、SUNNY BOY BOOKSの高橋和也さんとともにトークを繰り広げました

Posted on 2016.10.19

先日、今月23日に柏市で行われる一箱古本市「本まっち柏」の関連イベント、「本まっちトークイベント〜本に何が出来るのか〜」に、夏葉社さんの島田さん、SUNNY BOY BOOKSの髙橋さんとともに参加させていただきました。

 

緊張のあまり、トークの写真は上記の一枚しか撮っていないのですが、本まっちさんが写真をアップしてくれていますので会場の雰囲気をお知りになりたい方はこちらをご覧下さい →  ● 

 

また、10月21日[金]〜24日[月]にハックルベリーブックスさんで開催される「本まっちArt展vol.2 〜書物の縁(えにし)〜」にて、「本が作られる過程」「本の可能性」の展示とともに、トークイベントの模様も流されるそうなので、お立ち寄りのついでにぜひご覧いただければと思います。

 

島田さんは出版未経験のところから一人出版社としてご活躍されていて(詳しくは島田さんの著書『あしたから出版社』<晶文社>をご覧下さい)憧れの方でした。それがゆえ、直接ご本人からお話を伺えたのはこの上ない喜びでした。

 

奥様とお子様とともに暮らしていく(もうすぐお二人目が誕生だとか!)その生業として、本と携わる姿勢は本当に真剣という言葉に尽きました。大袈裟でなく、この仕事に命が懸かっている。だから、本に込める熱量はもの凄いですし、また、仕事の受け方の姿勢、というのもたいへん勉強になりました。

 

こういう真剣なお姿に触れ、また、これまで一箱古本市に出店してきたなかで感じてきていたことを踏まえて、改めて自分の本づくりを俯瞰し直してみますと、私のスタンスはたぶん、本づくりよりも「地域の編集」ということの方が、先にきているのだと思います。

 

出店しているとお客さんにきていただけるのですが、ほとんどのお客さんが自分よりも本に詳しく、恐らく読書量もはるかに多いと思います。正直な話、私は小説や文芸はほとんど読まないです(今回のトークでも「一番印象に残った本は?」と問われて「時刻表」と答えているくらいです・笑)。

 

地域のなかの(私の場合は「千葉県」ということになりますが)いいなぁと思える事象を伝えていきたいと思った時、一番しっくりきたのが「本」だったのかなと。仕事のあり方も自分のペース、波長とぴったりだったというのも大きいです(同時進行で人やモノをコーディネートし打ち出していく、瞬発力の求められる旅行会社時代の仕事は、楽しい部分もありましてが、やっぱり私の波長と合わずストレスだったんですね)。仕事に込めた熱量の伝わり方も、やっぱり今の本づくり、本の届け方のあり方がしっくりきて、なんとか継続もできて、自分自身で納得ができるんです。

この時まで買うのをぐっとこらえていました(笑)。夏葉社さんが復刊した『移動図書館 ひまわり号』(前川恒雄著)。島田さんからサインを頂戴しました。ありがとうございます!
この時まで買うのをぐっとこらえていました(笑)。夏葉社さんが復刊した『移動図書館 ひまわり号』(前川恒雄著)。島田さんからサインを頂戴しました。ありがとうございます!

実はトークイベントが行われる前に午前中、市川市のニッケコルトンプラザで行われていたクラフトフェア「工房からの風」を訪ねていました。展覧会開催前に行われたミーティングの一部を記録した「風と果実のための四つの祝福」を収録した冊子『風の音』の6号をいただき、そこに掲載されていた稲垣さんや作り手のみなさんの言葉に思わずはっとしました。クラフトフェアからの文脈で語られたことかと思いますが、これはまったく「本の可能性」に通ずるお話だと。

 

『大切なのは、ちゃんと仕事を見てくれる綱ぎ手、使い手とどれだけしっかり会えているかじゃないかな』

 

『物を作って売るだけだったらもっと違う仕組みや方法があると思う。刈り取りの場だけではなくて、花や実に至る過程そのものを展覧会という機会に織り込んでいく(中略)植える側、蒔く側は大変なことが多いけれど、実は刈り取る側にはない喜びもあって、そこの部分をもっとふくらませたい』

 

『幸せなことっていうのは、その人のペースで仕事をして、それが循環していくことなのかなと。作り手と綱ぎ手とお客様がいいバランスで豊かに回っていく世の中になったら』

 

『自分の実感で考える。だって流行は儚(はなかな)いから』

 

生業の根は、深いところで繋がっているような気がしてなりません。

深い一日でした。

本当にいらしてくれたみなさま、出会い刺激を与えてくれたみなさま、どうもありがとうございました。