新潟の市日やお祭りの時にはお馴染みの蒸気パン
Posted on 2015.8.25
新潟二日目は、祖母と母親の二人の遠足のドライバー役として出動です。二人が水原(阿賀野市の中心市街地)で服を買うというので、時間を持て余していた私はちょうど行われていた市日(いちび=新潟では定期市のことをこう呼ぶのが一般的です)「水原六斎市」をぶらり。
水原六斎市は300年の歴史があると云われ、「4」と「8」の付く日に市がたちます。私が物心つき始めた頃、家族に連れられて賑やかな市日を歩いたことは、鮮烈な印象として記憶に刻まれています。まるでアーケードのように連なるおっきなテントが、通りの向こうまで続いていて、好物だった筋子がいっぱい並んでいる・・・青いブルーシートと赤い筋子のコントラストと、でっかい人たち(当時は大人がそう見えた)がいっぱい行き交う風景は、私の朝市の原風景かもしれません(そういう縁かわかりませんが、勝浦朝市のあるまちに今住んでいる訳ですが)。
この日は11時を過ぎていたうえに、お盆の大市後ということもあり、出店数は僅か。それでも、おっきなテントを立ててるお店が何軒かありました。
さすが越後の國といいますか、鮭や筋子がいっぱい!そして三条市あたりで製造が盛んな車麩もよく並んでいます。これは勝浦の朝市ではまず見ない光景です。干物やカツオ、サザエは見ても、鮭・筋子類はほぼ無いです。こういう地域差がおもしろいですね。野菜・果物系では圧倒的にスイカが多かったです。麩は、葬式の香典返しにも使われたりと、新潟ではかなりメジャーな食品なのだとか。
と、とある一軒で車麩を購入したら、置かれていた発泡スチロールの企業名にピンときちゃいました。
なんと、南房総市の捕鯨基地、和田に会社を構える「外房(がいぼう)捕鯨」じゃありませんか!そして、陳列台をみると・・・・・うおぉぉぉ〜、なんとクジラがいっぱい!!!
小学生くらいの時、新潟の郷土食「くじら汁」を祖母に作ってもらいましたね。当時は嫌いで避けておりましたが・・スミマセン(今は大好きですよ!)。でもまさか、外房捕鯨さんと新潟でご対面とは、びっくりでした。
そして、新潟のソウルフードといえばもう一つ。
祭りや縁日では定番とされるコヤツです。
SLの煙突を思わせるような加熱器具・・・・・、そう、ポッポ焼です!蒸気パンとも呼ばれています。祖母は子どもの頃から水原や豊栄(新潟市北区)の市日の時に食べていたそうです。新潟ではそれほど定番のスイーツなのですが、私は今回が初めて。なにせ、縁日や市日など、ちょっと特別な日でないと遭遇できないもので・・・。写真のテキ屋さんは新発田市から来たそうです。
ポッポ焼は上の写真のように、細長い棒状の形をしていて、この日売っていたのは黒糖風味でした。もっちっとした食感がした、ソフトな甘さに病み付きになりそうです(笑)できたてのほかほかの時が一番おいしいですね。
各々買い物を済ませた後は温泉タイム。祖母の家から車で20分くらいのところに、五頭温泉郷があります。そのうちの一つ、出湯(でゆ)温泉へ。開湯から1200年、華報寺の敷地内に共同浴場があり、参道に湯宿が軒を連ねています。
この日は一度訪ねてみたかった「清廣館」へ。こちらも日本秘湯を守る会の宿なんです。昭和3年頃建てられた建物は木造三階建て。国の登録有形文化財に指定されています。厳かな佇まい。きっと雪景色もきれいでしょうね。
脱衣場の扉には『未来のために、蓋をします。』と書かれたメッセージが掲げられていました。
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自噴源泉百パーセントかけ流し
湯船の底から少々加熱しながらゆっくり掛け流し
循環なし・塩素消毒なし
湯船に「ふた」有り(温度保温・温泉保全のため)
末永く出湯温泉をお愉しみいただけますよう、
お上がりの際は、ふたをお戻しくださる御協力を
何卒お願い申し上げます。
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浴室に入ると檜の香りがふわりと広がり、思わずおおっ!と感嘆の声を挙げます(ちなみに女湯はタイル張りだったようです)。浴槽の底の中心部には小さな穴があいていて、そこから温泉が出てくるようになっているのでジャージャー樋から流れては来ません。空気に触れず、直に浴槽から温泉が注がれているのです。木々の気配を感じつつ、静かに湯に浸かり、じわりじわりと汗が滲み出てくるのを感じる・・・・・この感覚、青森県の蔦温泉に入浴して以来かも知れません。
「蓋」のメッセージにありますように、温泉の資源管理にも気を使われてらっしゃるようですね。市内で開発された環境に配慮したシャンプーやリンス、ボディソープなども置かれていました。
湯上がり後は苔むした庭園を眺めながら、ゆったりお茶の時間。おばあちゃん、ゆっくりできたでしょうか?
休憩中に出していただいたおまんじゅうが美味しかったので帰りに買い求めました。「玉峰(ぎょくほう)まんじゅう」という、40年くらいの歴史があるまんじゅうだそうです。また、よく聞けば、清廣館の運営はこのおまんじゅう屋さんが母体なのだとか。華報寺でヨガも企画されていて、身体の癒し集う人たちと交流できる湯治場の魅力を、過去と現在を咀嚼しながら展開されていて、たいへん興味を惹かれます。
こんなゆるっとした、お盆の帰省でした。