「房総おいしい御醤油の会」最後の醤油もろみ天地返しデーは焚き火パーティー!?美しい鵜原の海より「鵜原ソルト(塩)」づくりにもチャレンジしました

海水を煮詰めていくと、だんだんと塩の結晶が

自分たちの手づくりで醤油を作りたいと集まった「房総おいしい御醤油の会」。昨年の4月下旬に仕込み始めてからはや10ヶ月近くが経ちました。


長野から取り寄せた大豆をベースに麦と塩、そして市野川の天然水(うちの古民家にいさんちに引っ張ってきている山の湧水)を混ぜて仕込んだ諸味(もろみ)を、樽から樽へと移す「天地返し」と呼ばれる作業を定期的に行ってきました。天地返しをするのは諸味内の塩分濃度を均一にし、塩分の薄いところからカビが大量に繁殖してしまわないようにするためです。この日は房総おいしい御醤油の会、最後の天地返し作業ということで、みんな集まってわいわいやりながら締めくくることになりました。


現在は月に一回ほどの作業ですが、仕込み始めた当初は諸味が安定していないので三日に一回と、頻繁に天地返しを行う必要があります。この時期の作業が、まぁ本音を云ってしまうと結構メンドウ(笑)。約10升分の仕込み量ですので、作業自体はものの10分足らずで終わっちゃいますが、留守にしなきゃいけない期間はどうしよう、などとやきもきすることも。


夏を越え、天地返しの回数も減り、秋になってくると、だんだん諸味が熟成してきて、はじめはカビっぽい味わいだったものが、うま味のあるしょっぱさへと変わっていきました。ちょうど秋から毎月第二木曜定例の「古民家ヨガ」が始まり、ヨガのお客さんに天地返しと諸味のつまみ食いを楽しんでいただくようになりました(ご協力ありがとうございました!)。


この日、改めて諸味をチェックしましたが、非常にいい状態です。香ばしい匂いで思わず生唾をゴクリ・・・。来月の醤油搾りが楽しみです。


さて、勝浦随一の景勝地、フォトグラファーにして鵜原理想郷のヌシである吉野善三郎さんが面白い提案を。


「鵜原の海水で塩、作らない?」


と、いうことで、善三郎さんに汲んできていただいた鵜原理想郷の海水5リットルを、焚き火でグツグツと煮ていきます。以前、一宮町の「朝方塩(あつものしお)」(平釜で海水をダイレクトに煮詰める方式)、旭市「サンライズ」の揚浜式製塩法の塩(海水を撒いた砂を集めてそこに海水を流して得た塩分濃度の高い「かん水」を釜で煮る)の2タイプを取材させていただきましたが、フツーに庭先で焚き火でやる、というのは初めて。おままごとしているみたいですが、果たしてうまくいくのでしょうか?

家庭用の鍋で5リットルの水を焚き火で蒸発させるのはなかなか時間がかかりそうだったので、その間におやつを。みなさんの持ち寄りが多彩でちょっとした焚き火パーティーみたいになりました。

みえこさんの手作りスイーツ。甘党の私は一人で10個くらい戴いちゃいました
みえこさんの手作りスイーツ。甘党の私は一人で10個くらい戴いちゃいました
こちらは午前中に茂原のお麩屋さん「常泉商店」で購入したくずもち。臭みがなく柔らか
こちらは午前中に茂原のお麩屋さん「常泉商店」で購入したくずもち。臭みがなく柔らか

「お茶の間ゲストハウス」の春奈さんにお持ちいただいた、自家栽培のサツマイモ。焼き芋にしたらしっとりとした甘さ
「お茶の間ゲストハウス」の春奈さんにお持ちいただいた、自家栽培のサツマイモ。焼き芋にしたらしっとりとした甘さ
真由美さんのお手製鯖寿司も。ゴザ敷いて宴会を始めようか、というラインナップ(笑)
真由美さんのお手製鯖寿司も。ゴザ敷いて宴会を始めようか、というラインナップ(笑)

勝浦の守谷海岸からすぐのところにある古民家を活用し「お茶の間ゲストハウス」を営む福岡春奈さん。今、ゲストハウスの夕食にお邪魔すると、デザートに焼き芋が付いてきます(笑)
勝浦の守谷海岸からすぐのところにある古民家を活用し「お茶の間ゲストハウス」を営む福岡春奈さん。今、ゲストハウスの夕食にお邪魔すると、デザートに焼き芋が付いてきます(笑)

さて、ひと通り平らげると鍋の海水がだいぶなくなってきました。そろそろ火からおろすタイミングです。器の上に晒を敷いて、鍋にこびりついた塩を杓文字で削り取ります。


晒の上には塩が、そしてそこから滴り落ちる液体が「にがり」です。豆腐を固めるのに使われますね。

白い塩ができました。まだにがりを落としきれていないせいか、水気と粘りがあります
白い塩ができました。まだにがりを落としきれていないせいか、水気と粘りがあります
にがりは瓶に保存しておきます
にがりは瓶に保存しておきます

できたてのお塩を味見
できたてのお塩を味見

にがりを落とした水気のない塩を触ると、驚くほどきめがこまかく滑らかです。ひとなめすると、これが非常においしい!しょっからいだけではない味わい深さがあります。


「あの綺麗な鵜原の海で塩をもっと作れたら最高だよね」


と子どものような目を魅せる善三郎さん。お茶の間ゲストハウスの春奈さんも、美しさでは負けない守谷の海から塩をつくれないかなと、ちょっと本気モード(!?)。味噌も醤油の仕込みにも塩は描かせないもの。今後の「勝浦の塩」の展開に、目が離せません(笑)。


房総おいしい御醤油の会のみなさま、寒い中お疲れ様でした!そして、ご馳走様でした~