民藝の流れを汲む出雲の窯元は
このエッグベーカーが有名です
先月、島根県を旅したなかで、いわゆる民藝の流れを汲む窯元を二箇所訪ねました。布志名焼(ふじなやき)の窯元ひとつ、松江市の「湯町窯」と、三年前にも訪ねた出雲市の「出西窯」(しゅっさいがま)です。
今年の4月より、勝浦市市野川地区の古民家に移り住んでから、有り難いことに訪ねて来ていただける方が多くなり、お茶に出すための揃いの器が欲しいなと思っていたところでした。
そこで、旅の一日目に訪問したのが、出雲の名湯・玉造温泉のほど近くにある「湯町窯」です。
山陰地方の窯元には柳宗悦をはじめ、河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチら、民藝運動の先駆者たちが、度々足を運び指導を行なってきました。大正11年に開窯したこの湯町窯は、バーナード・リーチの影響を特に受けられた窯で、卵焼きを作るエッグベーカーはその象徴といえます。
今回、迷いに迷って(欲しくなる器が多くて苦労しました・笑)選んだのは下のカップです。私の大好きな海鼠釉の器です。
八面にしのぎを施され、素朴ながらもモダンな風情を漂わせています。縁は少し外側に反りでた丸みを帯びているのですが、これがたいへん口あたりがよく、また液垂れしにくく、使いはじめてすぐさまお気に入りとなりました。4脚買い求めましたが、2脚ずつ重ねて収納できるのも魅力的です。
今、古民家にいさんちでお茶をお振る舞いする時は基本、この器を使用しています。今度、この器に出逢う機会がございましたら、ぜひ手のひらへのおさまり具合、唇と器のあたる感触を、じっくりと体感していただければと思います。
では、翌日は出西窯を訪ねます。