お取り寄せじゃなく、
人を呼ぶ力をつくりたい
先日、取材の申し込みをしていたとある会社から「最高の魚が揚がりました!(取材は)明日ならできます!!」との連絡が入り、急遽、銚子まで車を走らせ取材を断行。無事、取材を終えることができました。果たして何の魚か、それは来月以降のお楽しみ・・・。
その取材前にランチで立ち寄ったお店がこちら。
かつての銚子の繁華街、銚子銀座の飯沼観音のほど近くのところにある「観音食堂 丼屋 七兵衛」です。銚子の青魚を素材のメインに使った食堂で、間もなく3周年を迎えます。
■「観音食堂 丼屋 七兵衛」FB → ●
数ある品書きになかからどれにしようか迷っていると、スタッフのおばちゃんが、
「今はサンマかサバですね。イワシは今はあまりないですね。
サバはだんだん大きくなってきましたよ」
とニヤリ。そう、オススメはなんといっても秋から冬にかけて銚子で水揚げされる「サバ」。サバのなかでも大きいもののみを選別し、特許製法による塩ダレで漬け込んだ「極上さば」は七衛兵の看板商品です。今まさに旬のはしり。とあれば、「極上さば漬丼定食」を注文することに致しましょう。
たまらず頬張るとねっとりとしたうま味がジュワ、ジュワ、、、と広がります。ボディのあるうま味ながらしつこさがなく、瑞々しい味わい。生臭いのでは?脂こいのでは?と、先入観をもたれている方に、ぜひ一度お試しいただきたい一杯です。
無中で戴いていると、カウンターの奥から見慣れた男性が現れました。銚子まちづくり株式会社の清水俊和代表です。久しぶりの再開にお互い笑顔をこぼれます。
清水さんとはぐるっと千葉時代に企画した「新★ご当地グルメ」特集以来のおつきあい。いやぁ、懐かしい!
清水さんは日本随一の漁港ながら魚種として青魚が多く、せっかく水揚げされた青魚が買いたたかれていた現状と、中心部の衰退に憂い、市内各店の店主に呼びかけ「銚子うめぇもん研究会」を結成。ただ単に揚がっていたサバを「選別」し、「お取り寄せではなく銚子に足を運んでもらう」とのコンセプトのもとでサバ料理を、研究会で開発しました。さらに、旭市飯岡の食事&宿泊処「海辺里(つべり)」が開発した特許製法の塩ダレでジューシーな生食感のサバを実現。今ではこの料理を参加店で味わえる「銚子極上サバ料理祭」は秋の銚子の定番イベントになりつつあります。
この辺りの顛末は、ぐるっと千葉時代にレポートしています。
興味にあられる方はご覧下さいませ。
■ぐるっと千葉blog
「ご当地グルメによる地域活性化は商品開発で終わらせてはいけない、常に地域全体を見つめよ!「銚子うめぇもん研究会」仕掛け人、清水俊和さんに訊く!!(2)」
「もっと地元で流通させ
食べて良さを認識できないだろうか。
地域内で(資源を)回していくことで、
若者が銚子に戻って来て
ビジネスができる土壌を育んでいく必要があるんです」
・・・その青魚を、イベントではなく、常時振る舞うことのできる場が生まれました。銚子まちづくり会社を立ち上げた清水さんは、学生とコラボしながら衰退著しい銚子銀座の一角に、青魚をメインとした食事処「観音食堂 丼屋 七兵衛」をオープンさせたのです。苦労話はつきませんが、喜ばしいことにようやく黒字化を実現したとのことです。
現在、イワシやサバの干物の商品開発に、学生とともに取り組んでいるほか、三周年記念として、銚子電鉄応援メニューの開発を進めています。
「銚電応援メニューを、
月代わりで5種くらい出そうと思ってね。
売上げの一部を銚電に寄付するのね。
でもお金じゃないの。
今、銚電は創業91年なんです。
もうすぐ一世紀。
だから、9年間支援し続けられればと。
銚電の最初の電車って、
ドイツから導入したデキという車両なんです。
うち、陶器屋でしょ。
たまたまドイツからデザイナーが来てて、
陶器に銚電の絵を描いてくれるっていうんです。
寄付金を使ってマグカップを作ってそれを売ってもらう。
3周年だからって、
なにかを無料で振る舞うだけじゃありきたりでしょ?
人を呼ぶ力をつくりたいんです」
・・・これから銚子ではサバの最盛期を迎えます。そして、今年も11月より「極上さば料理祭」を開催予定だそうです。銚子人の想いを噛み締めながら味わうサバ料理。新たな銚子の味わい方が生まれています。