木更津市「田んぼCafe」〜「5Wから電力」ワークショップ。どれだけ電気を使っているのか、どれだけ電気が必要なのか。「足るを知る」きっかけを

ひとつのカフェのストーリー。

まずは「電気」から

これからの本当の勉強はねえ

 

テニスをしながら商売の先生から

 

義理で教はることでないんだ

 

きみのやうにさ

 

吹雪やわづかの仕事のひまで

 

泣きながら

 

からだに刻んで行く勉強が

 

まもなくぐんぐん強い芽を噴いて

 

どこまでのびるかわからない

 

それがこれからのあたらしい学問のはじまりなんだ

 

ではさやうなら

 

……雲からも風からも

  

  透明な力が

  

  そのこどもに

  

  そゝぎくだれ……

 


宮沢賢治『春と修羅 第三集』より


 

 

お花のレストランへようこそ。葉っぱで買いに来てね
お花のレストランへようこそ。葉っぱで買いに来てね



Posted on 2014.9.1


先日訪問させていただいた「田んぼCafe」。それは、やまのてるひろさんが仲間たちと、地域と自らの田んぼにあるものを活用して創り続けている空間です。まだ未完成だという、そのカフェのテラスに立つと、風に揺られて波打つ豊饒の輝きが眼前に広がります。木更津市も少し山手に入れば、穏やかな里山が残されているのです。


ここには、やまのさんの暮らしぶり、伝えたいメッセージ、現代社会への問いかけがそこかしこに溢れているのですが、それは然るべき時が来た時にお伝えできればと思います。敢えて今言うなれば、先の宮沢賢治の言葉に集約されるのではないかなと思いました。


今回は、参加させて頂いた「5Wから電力」ワークショップの模様をお伝えしましょう。やまのさんちではソーラーパネルを導入し、電力を自給されています。その経験を活かし、ソーラーパネルと12Vのバッテリーを使って自分の家でも発電できるよ、というところまで、分かりやすく教えてくれるワークショップを行われています。


※ここで簡単な予備知識を

V(ボルト)=「電圧」。電気を押し出す力

A(アンペア)=「電流」。電気の流れる量

W(ワット)=「電力」。消費される電気エネルギー

バッテリー=蓄電池


さっそくバッテリーやソーラーパネルが配られます。段ボールのケースを開けると、ソーラーパネルがキラリ。胸が躍ります。



 

段階を踏みながらワークショプは進みます。



●バッテリー


「12Vというのは車のバッテリーと同じです。

 そう、だから車屋に行くと、

 12Vのアイテムが結構あったりします。

 家庭はのものはだいたい100V。

 コンセントある家電はほぼ100Vと思って下さい。

 12Vは100Vよりも比較的安全です。

 電圧12Vなら電気工事士の免許もいりません。

 ただこうやっちゃダメ」


と、プラスとマイナスを重ね合わせる仕草をするやまのさん。ショートが火事に原因になることが多いそうです。また、ガソリンを搭載している車で使う時は慎重に、とのこと。うん、まず12Vと100Vの違いすら、あまり意識したことがなかったので、ナルホドナルホドの連続です。

バッテリーの端子が水に濡れないよう、ペットボトルで「傘」を自作されていました。ナイスアイデア!
バッテリーの端子が水に濡れないよう、ペットボトルで「傘」を自作されていました。ナイスアイデア!

「(バッテリーは)バケツと一緒、

 大きいほど電気がたまります」


とのことですが、今回ワークショップで支給されたバッテリーでもかなりの重さ。30キロくらいはあるのではないでしょうか。バッテリーとソーラーパネルが繋がっている状態で電気は蓄電されていくので、どこに設置するかをよく考えなければなりません。日の当たる所に置く必要があるのはもちろん、そのバッテリーからスマホを充電したり照明器具繋げるのであれば、あまり母屋から遠いところに置いたら不便です。或は、配線を伸ばすなどの工夫が必要です。私はこうしてみました。

家の持ち主さんがいいサイズの台車を持ってらっしゃったのでこちらを拝借。ひとまずある程度のモビリティはこれで確保です(笑)


やまのさんは、


「僕は小さいのを分けて置いています。

 そうすると何かトラブルがあった時の原因がすぐわかります」


と電気の系統を一元化するのではなく、小型のバッテリーとソーラーパネルを組み合わせて、それぞれ自立させています。そうすれば、例えば電気がつかなくなったら、そこの部分がおかしいというのがすぐ分かる訳です。



●逆流防止ダイオード


「あれ?『逆行』防止ダイオードだと思ってたよ~」


と、参加者から笑いが飛び交う先にあるのがこの器具。

「逆流防止ダイオード」です。名前の通り、電気の逆流を防ぐもの・・・そう、充電したい機器からバッテリーへと、電気が逆流するのを防ぐスグレものなのです。


「電気は高いところから低いところに流れます。

 僕、バッテリーと携帯を繋げっぱなしにして

 寝ちゃったことがあるんですけど、

 寝てる間に電気が行ったり来たりして劣化しちゃったんですね。

 結局バッテリーも携帯もスッカラカン(笑)」


そんな逆流を防ぐために、携帯などの蓄電機能を持つ機器とバッテリーを繋ぐ際は、必ず逆流防止ダイオードを配線途中にかませます。なお、今回支給していただいたソーラーパネルには、元々逆流防止ダイオードが内蔵されていました。また、照明など、蓄電機能のない器具には逆流防止ダイオードをかます必要はありません。

実際に太陽の光に当てて、発電しているかをチェック
実際に太陽の光に当てて、発電しているかをチェック
インバータを使えば100Vの機器にもつなげられます
インバータを使えば100Vの機器にもつなげられます
参加者のF田さんが持参された街灯。インバータを経由して、果たして無事点灯する!?
参加者のF田さんが持参された街灯。インバータを経由して、果たして無事点灯する!?
やった!無事に着きました!!庭の街灯ならバッテリーも外に置きっぱなしでいけるかもしれませんね
やった!無事に着きました!!庭の街灯ならバッテリーも外に置きっぱなしでいけるかもしれませんね

●5Wから始める


「5Wから始めて欲しいんです。

 一度5Wでやってみて、

『これは暗いな』ってなれば、足りないってことですよね。

 そしたら10Wにしてみる。

 システムを大きくしてみる、って考えられますよね。

 自分がどれだけ電気を使っているのか、

 自分がどれだけ電気が必要なのか」


を知ることが重要だと、やまのさんは強調します。

すると、


「そうなんだよね。

 普段、電気って使い放題なイメージがあるからさ」


と参加者の方。

それは本当に必要な電力なのか?

ミニマムから考えることを、実は普段意識しているようで、見えていなかった部分だなと、改めて考えさせられたのでした。


「足るを知ること」


と言うやまのさん。そんなやまのさんの当面の目標は、東電からオフグリッドにする「断髪式」を行うこと、だそうです(笑)。私も、5Wから生活を模索しつつ楽しみつつ、実践していきたいと思います。やまのさん、参加者のみなさん、素敵な出会いときっかけを、ありがとうございました!!