微生物たちのあたたかさを感じながら
先週、鵜原理想郷のヤマユリの会のみなさんにお誘いいただき、醤油仕込みの体験に参加しました。そう、味噌造り体験じゃなくて「醤油」なのがミソ(あ、ミソになっちゃいました・笑)。
会場は勝浦市のお隣、御宿町にある直売・交流スペースの「牛舎8号」さん、略して「牛8(ぎゅうはち)」です。元牛舎だったスペースを改装され、農産物の直売やカフェ、アーティストの作品展示、イベントと多彩に活用されているところで、ここに行けば何かはやっている、という感じがします。
牛8名物の卵がけご飯を戴いていると、勝浦チームの面々が続々と集まってきました。
ここで思わぬサプライズ。
勝浦市で昨年から養蜂を始められたあおみさんからハニーな試食会。移住してから始めて採蜜した蜂蜜をみんなで味わいます。クセがなく、なんとも香り高い風味。一堂から歓声が挙がります。
さて、それではいよいよ醤油仕込み体験の始まりです。
講師はこの方・・・ん?
手塚先生じゃありませんか!
何を隠そう、手塚先生はぐるっと千葉時代に取材させていただいたことがあるのです。当時連載していた「復興への軌跡」の取材で、ピアノや暖房器具を石巻に送り届け、音楽イベントを専修大学で行った模様をリポートさせていただいたのです。
この手塚先生から醤油仕込みの手ほどきをうけます。
醤油の原料は大豆、小麦、そして塩です。蒸した大豆と炒った小麦を混ぜ、醤油麹かびを付けます。そこに塩を混ぜよく混ぜ合わせます。この「諸味(もろみ)」を熟成(発酵)させ、最後に搾って得た液体が醤油となります。実は手塚先生に麹付けまでを既にやっていただいていたので、天日塩を混ぜ合わせるところからチーム勝浦は作業をします。
塩は偏りがないようまんべんなく混ぜます。また、塊があればほぐしてやり、ばらつきが出ないよう注意します。すでに発酵しているからなのか、大豆と小麦の山はほんのりとあたたかく、逆に塩は冷たく感じます。微生物たちにおいしい醤油になることをお願います。
混ぜ合わせたらひとつの樽につき10升分になるよう計量し、分けていきます。みっつある樽のうち、勝浦チームの樽は市野川の古民家・にいさんちでお預かりすることになりました。
会場をにいさんちへ移すその前に、「NPO法人おんじゅくDE元気」のキタムラさんに御宿随一のビュースポット、大波月をご案内いただきました。この草むらの一本道の奥には・・・
この絶景です!
爽快な息抜きをしたあと、市野川にあるウワサの秘境ケーキ屋さんでオヤツを確保。
にんさんちに着いたらさっそく諸味に指定通り水を加えます。ちなみにうちのお水は、良く云えば天然水・・・山からの湧水であります(笑)
ここまでやれば今日のところは作業完了です。ですが、熟成中もお世話してあげるのを忘れてはいけません。
『仕込みから数日は、塩が完全に溶けていないため、塩分濃度にバラつきが出て、薄いところに雑菌が繁殖しやすくなりますので、頻繁に天地返しをしてください。保管場所はできるだけ暗くて涼しいところになります』
とは、影の醤油講師、イマニシ師匠のお言葉。
と、いうことで当初はほぼ毎日、ここ最近は3~4日に一度のペースで転地返しをしています(日々の転地返しの模様はFacebookにてUPしています)。
ちなみに、はじめは単純にぐるぐるかき混ぜればいいのではないかと思いましたが、思っていた以上に諸味に重さがあり、とても樽の底からかきまわすのは難しいと気がつきました。
転地返しは、6月以降は2週間に1度、10月からは1ケ月に1度ほどと、だんだんその回数を減らしていきます。そして翌年の2月に搾る予定となります。
「15度以下ならカビはそうそう生えない」
と云う手塚先生の横で、牛8の三成さんが
「『緑色』にした人がいますよ」
とニヤリと不敵な笑みを浮かべていたのが思い返されます。
「ちょっとくらいのカビなら問題ないですが、
一面に生えるようだと味が変わってしまう恐れがあります」
と先生。油断は禁物、ですね。
塩には雑菌を防ぐ効果があるので、転地返しによる撹拌が、かびらないポイント。塩分の薄い箇所は特にカビが生えやすいようです。
さ、落ち着いたところでみんなでオヤツを戴きましょう。コーヒーもドリップしますよ。
善三郎さん、ケーキゴチになりました!
こうしてチーム勝浦は「房総おいしい御醤油の会(仮)」というチーム名も引っさげて醸造を開始しました。果たして来年、おいしい醤油が搾れるでしょうか!?乞うご期待です。