今年も
この季節がやってきました。
集落のあちこちで群生している蕗の葉に、そっと桜の花びらが一枚。海辺の市街地よりも気温の低い市野川の桜も盛りは過ぎ、青々とした葉をつけ始めました。
先日の土曜日は市野川のタケノコ掘り体験にお邪魔しました。3~4組ほどのご家族のみなさんのご参加があり、久しぶりに大勢のちびっ子たちの歓声が里山に響き渡ります。今日は常之さんの竹山が舞台です。集合次第、さっそく常之さんより、タケノコの見つけ方、掘り方のレクチャーが始まります。
千葉県でタケノコと云うと大多喜町が有名ですが、同じ夷隅川流域圏にある丘陵部・市野川も地元で評判のタケノコの里として知られています。粘土質の土壌で育った市野川のタケノコはあくやえぐみが少なく、柔らかで甘やかな食味が特徴的です。
ただ、地上に出過ぎたタケノコは固いので、できるだけ潜っている状態のタケノコを見つけ出します。目と、足で踏みしめた感覚で見つけ出すのですが、これが素人にはなかなか難しい。すぐに見つけられるようになれば、タケノコ名人にちょっぴり近づけます。
さ、ではさっそくタケノコ掘り開始です。
竹林の中では、日の光が竹の葉っぱをすり抜けて柔らかに降り注いでいます。まだ、大雪の爪痕が残るものの、地元のひとたちが手入れをしていたからこそのこの清々しい竹林なのです。そう、里山は純粋な自然ではありません。暮らしに必要なだけ人の手が入った自然こそが、里山の姿なのです。
一方、こんな里山の客人もいます。
こちらは何かお分かりでしょうか?
実はイノシシの糞なんです。
「イノシシは上に出る前から食べちゃうのよ。
びっくりするくらい深くまで掘っちゃうんだから!」
と常之さんの奥様、茂代さん。イノシシはその嗅覚で、一番美味しい状態のタケノコを嗅ぎ分け、人間が掘る前に食べてしまうのです。里山の住人とともに、どう里山の恵みを享受するかが課題でもあります。
さてため息混じりの茂代さんですが、実はタケノコ掘りの名人でもあるんです。私も含め、参加者のみなさんがハァハァ息を切らしながら土を掘っているのに対し、茂代名人にはムダな力の掛け方がありません。あっという間に掘りあげてしまうのでびっくりしました。
竹は根元から横に地下茎が伸びており、その地下茎からタケノコが伸びてきます。この地下茎とタケノコの根元の部分を鍬でザックリやってしまわなければなりません。茂代名人はタケノコの生え方から、この地下茎がどの方向にあるかが見極められているため、すぐにトドメをさすことができるのです。私は未だにこれが分からず、大切なタケノコを傷つけてしまいます。面目ないです・・・。むしろ私よりも参加者のみなさんの方が上手で、次々とタケノコを掘りあげていきます。
さて、大収穫になったところでタケノコの刺身を試食。瑞々しく弾ける爽やかな香りとともに、仄かな甘みが口の中に広がります。掘りたてのタケノコのえぐみのなさ、香り高い風味に驚きです。
こうしてタケノコ掘り体験が終了。今年は雪の影響が心配されましたが、今日はおかげさまで大収穫でした。
自宅に戻り、晩ご飯を作るついでに加工品づくりに着手します・・・と、不意に茂代名人が素敵なプレゼントを携えて訪ねて来てくれました。なんと、先ほど掘ったばかりのタケノコで作った、名人自家製の酢漬です。
「茹でてスライスして、酢漬けにできるのよ。
市販のラッキョウ酢を使えばラクよ。
ここに唐辛子を入れてもいいんだけど、
ウチはお父さんが辛いの苦手だから(笑)」
酢や砂糖などの量を、お好みで調整してみてもよさそうですね。
さっそく試食させていただくと、シャキシャキっとした食感とともに、爽やかで引きのある風味が食欲をそそります。食卓にこれが一品あるだけで、食事にハリが出てきますね。
一方、私も少しでも名人に近づけるよう頑張らねばなりません。私は下茹でしたタケノコをカットし、たっぷりめのゴマ油で炒めてラー油でちゃっちゃっちゃ。醤油で味を調え調えしたら、そう、自家製メンマの出来上がりです。
手前味噌ながら、酒のつまみに最高な美味しいメンマが出来ちゃいました。今後、こんな加工品土産が出来ると楽しいですね。
さて、このタケノコ掘り体験、5月6日までの土日祝に開催致します。
お申込、詳細はカッピービジターセンターまでどうぞ
■ カッピービジターセンター「春が来た♪里山体験『たけのこ掘』」
また、4月19日(土)には千葉市の幕張ベイタウンで行われるマルシェ「ベイタウン朝市」に、市野川チームが出店します。市野川の新鮮なタケノコと、同じ粘土質の土壌で育った「イチノ米」を販売しちゃいますよ~!飲食のほか、ライブなども行われる賑やかな催しですので、千葉市の皆さん、ぜひ起こしくださいませ。