ひとつひとつの生業の「あり方」が、街のカルチャーを燻らす〜千葉駅前の自家焙煎珈琲「豆NAKANO」

 

 

駅前で珈琲のアロマに包まれながら

千葉のカルチャーに身を委ねたい

 

「豆NAKANO」

千葉市中央区弁天1-1-2 be-place 1F

FB https://ja-jp.facebook.com/mamenakano

 

 

 

ちょっと前まで、千葉駅周辺は衰退して面白い店がないなどということをよく耳にしました。ところがここ数年、ちょっと状況が変わってきています。千葉県では柏駅周辺が先んじてそう云われていたように、確実に「カルチャーの匂い」がし始めている・・・千葉のそれは、柏よりもちょっと落ち着いた風情を醸しているようにも見えます。

 

千葉市中央公園・パルコ・千葉銀座をコアとして県庁方面、JR千葉駅方面へと伸びるストリートはフリマ、大道芸をはじめ、一年を通じて様々なイベントが行われる賑わいの基軸。この基軸を取り囲むように、大まかに三つの「カルチャー」が千葉駅界隈に存在します。

 

ひとつめが、「基軸」からJR外房線を跨いだ「裏千葉」と呼ばれる海寄りのエリア。古着やアンティークを扱う店や、カフェやパン屋などがさり気なく佇んでいます。千葉駅から徒歩10分そこそこなのに、意外にも閑静な民家が軒を連ね、その静閑の森のなかにひっそりとそれらのお店が溶け込んでいるのです。

 

ふたつめが古くからのカルチャーエリア「西千葉」。そう、千葉大学のお膝元です。安い学生向けの食事処はもちろんですが、ムーンライトブックストアさんやカフェスタンドさんのような、若い感性をふるわせるようなお店が揃っています。京成千葉線の線路を国道14号線側へ越えるとちょっとハイソな雰囲気が漂いますが、これも西千葉の個性の一つでしょう。こちらにはおいしいパン屋さんが潜んでいます。

 

そしてみっつめ。

それがJR千葉駅北口、千葉市生涯学習センターをコアとした「弁天界隈」です。ここは随分前に「カフェブルー」という自然素材にこだわった食事を味わえるカフェがあって、アースマーケットプレイス(美浜区高浜団地にある自然食品&八百屋)の店長さんが働いていた時代がありました。当時の取材時、野田さんにニンジンを持ってもらいポーズの写真を撮らせていただいたのが懐かしくもあります。そのカフェブルーがカフェアースになり、そして現在のhifumi cafeになったあたりから、ぐわっ!とカフェが界隈に増え出したように感じます。アパートメントエムカフェさん、ainowaさん、merciさん・・・。まるでカフェブルーが発していた食や暮らし、ライフスタイルという価値観と、住宅街、文教地区という弁天というエリアの元々持っていた素地が融合して、いよいよ街が静かなる躍動をはじめたかのように見えます。帆布バッグのSudo-Bagsさんも見逃せませんね。

 

その弁天のカルチャーを証明するかのような界隈MAPを手に入れました。「Ben Ten map」です。

 

「僕が言い出しっぺ、ってことになってます」

 

と笑うのは、ドリップポットを手にする仲野慶さん。

今日は、ぐるっと千葉時代に取材をさせていただいて以来の訪問となる「豆NAKANO」さんを訪問です。前回足を運んだのは今の場所に移転オープンしたての頃でしたのでもう一年半は経つでしょうか。相変わらず、本当にこじんまりとした広さだなぁと、ついついクスリと笑みを浮かべてしまいます。こんな狭い店舗ですが、ディスプレイや内装など、実に「端正」です。そのセンスのよさに今度は溜め息が出てしまいます。

 

「コーヒーは掘り下げられます。
 その道を摘んでしまうのはもったいない。
(焙煎の仕方によって)『こういう持っていき方があるんだ』。
 そういう面白さをお客さんと共有したいんです」

 

と、取材時に語っていた仲野さん。

迷った挙げ句、ニカラグアの珈琲豆を購入。そして、同じニカラグアのドリップコーヒーをカウンターで戴くことにしました。清澄な味わいの中に、軽やかな酸味。そしてゆるやかに甘みが漂う。クリアーでふくよかなフレーバー。あぁ、飲んで行ってよかった・・・。

 

そのコーヒーのお供は幕張ベイタウンにある「パティスリータルブ」さんのチーズケーキ。コーヒーに良く合います。実はタルブさんは以前、ぐるっと千葉の連載「いっぴんさん」で取材をさせていただいたお店。今後、豆NAKANOさんも出店されている「ベイタウン朝市」などで、お世話になるかも。幕張と勝浦の繋がり乞うご期待(!?)であります(笑)

 

この日は、古民家の活用法などについて仲野さんから面白い情報をいただきました。そう、仲野さんはコーヒーについてはもちろんですが、街や地域について、とてもアツい方なのです。先の「Ben Ten map」もその証。掲載されているお店同士でお金を出し合いながら、デザイナーさんにカタチにしてもらい完成した、地元のお店の人たちが本当に佳いと思える「好き」「いいね」の気持ちがぎゅっと詰まっています。各店舗の解説が、別の掲載店舗の店主のコメントで構成されているのが、私はとっても好きです(これ、いつかパクリたいです・笑)。

 

前回取材させていただいたときの「想い」が蘇ります・・・・・

 

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「歩くと気の利いた店に出逢えるような。景色を変えたい」

と、仲野さんの関心は、珈琲に留まらない。

「これから再開発で千葉駅の北口も変わる。
 その時チェーン店がズラッと並んでちゃ楽しくないじゃないですか。
 今も、わざわざ千葉に来ようという感じじゃない」

千葉というカルチャーを。
人と文化の匂いのする街のカラーを。
街の未来像を見据えながら、珈琲がきっかけのひとつとなるように。

「近所のお茶やさんのような存在になれるように」

そう笑いながら、仲野さんは淹れたての一杯を飲み干した。

 

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ひとつひとつの生業(なりわい)の「あり方」が、街のカルチャーを燻らす。

これから、地域でどうあるべきなのか・・・・・。

NAKANOさんを後にし、背筋がしゃんとする想いがするのでした。